顕微鏡治療(マイクロスコープ治療)
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顕微鏡治療(マイクロスコープ治療)について
当院では、通常、肉眼で行う歯科治療をマイクロスコープ(顕微鏡)を用いて行っております。
マイクロスコープの拡大率は、最大24倍まで拡大して治療をします。
マイクロスコープ根管治療
通常、保険診療では神経の治療は、肉眼で行います。しかし、神経の治療がうまくいかず、歯科医院を何件も回った結果、抜歯になるケースが多くあります。
(保険診療では、根管治療の成功確率は30%から50%です。 ※1)
歯の神経が通っている管は⾮常に⼩さく、肉眼ではまず⾒えず、一般的には⼿探りで治療をしているのが現状です。ですので、肉眼では失敗する確率が⾼くなります。
従来の肉眼で行う根管治療では、リーマーというステンレスの針を根管という管に挿入してその管をある程度の太さまで拡大し、そこに根管充填剤というゴムの棒のようなものを詰めていきます。ですからある程度根管を大きくしておかないとそもそも根管充填剤をその管に押し込むことができないわけです。
ステンレスリーマーは、一番細いもので0.06ミリですが、根管充填材として押し込むものは0.35ミリくらいです。
歯の根管は、わずかカーブしていたり、根尖部で急激にカーブしていたりします。0.06ミリのステンレスならそのカーブに追随できますが、0.35ミリのリーマーでは、そのカーブに追随できず、壁に穴を開けてしまったり(パーフォレーション)、カーブの途中でリーマーが引っかかって進まなく(レッジ)なったりしてしまいます。リーマー自体が破折して根管の中に折れて残ってしまったりします。
写真は、リーマーが根管内で破折しています。破折したリーマーは、保険治療ではまず除去は不可能です。
図では、左側に先端が湾曲していますが、ステンレスファイルでは、根管を追随できず、図の右の絵のように本来の根尖部以外のところに穴が開いてしまい、本来の根管の消毒ができない状態で痛みの症状がとれなくなったりします。
写真では根管が急激に湾曲しています。このくらい湾曲はステンレスファイルでは追随は難しい場合が多いです。この例では、超弾性ニッケルチタンファイルを使用して根管治療をしています。(非保険適応)
そうなると肉眼では、まず治療を成功させることは無理で、そのため何件歯科に受診して、治療をやり直しても治らず挙句、痛みが残ってしまって咬めない状態になったり、抜歯するという選択肢をとらざるを得なくなります。せっかく高いお金を払ってセラミックの歯をいれても、神経の治療が失敗していれば、数年後にまた痛くなり再治療が必要になります。
再治療をなくすためにしっかりと行おうとすれば、顕微鏡(マイクロスコープ)での治療は必須なのです。
※1
(参考文献1)須田 英明, わが国における歯内療法の現状と課題, 日本歯内療法学会雑誌, 2011, 32 巻, 1 号, p. 1-10
(参考文献2)de Chevigny C, Dao TT, Basrani BR, Marquis V, Farzaneh M, Abitbol S, Friedman S. Treatment
outcome in endodontics: the Toronto study–phase 4: initial treatment. J Endod. 2008 Mar;34(3):258-63.
当院で行っているマイクロスコープ根管治療の流れ
当院で行っているマイクロスコープ根管治療(神経の治療)をご紹介します。
STEP1.クラウン除去
金属の歯が⼊っている場合、まずはドリルで金属部分をカットしてはずします。
STEP2.コア(土台)除去
被せの金属歯をはずしたら、土台部分(金属のコア、樹脂+金属ピン)を歯の損傷を抑えるように気を配りながら除去していきます。
STEP3.虫歯部分の削合
根の中で虫歯が進行している部分を注意深く除去します。
神経はないので、痛みはなくても虫歯が進行していることが多々あります。
STEP4.レーザーによる歯肉切除
虫歯が歯ぐきの下まで進行している場合は、レーザーにより歯ぐきを下げます。
STEP5.隔壁作製
細菌の侵⼊を防ぐため、ラバーダム防湿をするための⽖と後々のコアの⾜場を作る、隔壁作製をします。
STEP6.ラバーダム防湿
細菌の侵⼊を防ぐため、ラバーダム防湿をします。
STEP7.根管治療
ここまで準備して、いよいよ根管治療を開始します。
あらゆる薬剤、機材を用いて、感染した充填物、神経組織、削粉などをすべてとり除きます。
STEP8.根管充填
根管内の異物をすべてとり除いた後、その空洞に再び細菌が侵⼊しないように根管充填剤を詰めます。
マイクロスコープ治療例 1(根管治療)
下の動画をご覧いただくと手順がおわかりいただけると思います。
マイクロスコープ歯根破折、穿孔修復治療
当院では、破折した歯根、穴があいて痛みがとれない歯など、通常なら抜歯になる歯のマイクロスコープ修復治療も行っています。
マイクロスコープ治療例
2(歯根破折)
下の動画は、「上の前歯が割れてしまい、歯ぐきが腫れた」と来院された方の前歯のマイクロスコープ治療です。
マイクロスコープ治療例
3(破折リーマー除去+根分岐部に穴)
下の動画は、下の奥歯ですが、以前受けられた治療の際に、リーマー(針)という治療器具が折れこんでいて更に根っこの股割れの部分に穴を開けてしまっていました。近い将来抜歯になる可能性が高い状態です。
マイクロスコープ治療例
4(分岐部破折)
下の動画は、上の奥歯です。根っこ自体が3つある歯でその股の部分が折れていました。この状態ですと、治療に対応できる歯科医院が限られています。
マイクロスコープを用いた歯性上顎洞炎の歯の治療
上の奥歯、おもに上顎第1大臼歯、第2大臼歯は、根っこの先端が上顎洞底に近接していることが多く、根管治療の失敗などにより上顎洞に感染を起こすことがあります。
上顎洞に感染した歯を放置しておくと、上顎洞に膿がたまります。症状が重い場合は重症になるケースがあり、ガイドラインでは抜歯の対象となります。
当院ではマイクロスコープを用いて上顎洞炎を併発した歯の治療も行っています。
マイクロスコープ治療例 5(歯性上顎洞炎)